日本で現在、介護をしている人は約557万人。2025年には、いわゆる団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるため、介護をする人もさらに増えることになるとみられています。

親の介護のために仕事を辞める人が急増することが懸念されており、介護現場の人材確保も急がれています。

しかし介護現場では、認知症の利用者が予期せぬ行動をとることも多く、現場の介護職員は常に、事故の危険と隣り合わせです。

介護施設に高額の賠償請求

福岡県新宮町の介護施設では2014年1月、当時76歳の女性が施設を抜け出して行方不明になり、3日後に近くの畑で凍死しているのが発見されるという事件が起きました。

女性には徘徊癖があることを施設職員は認識していましたが、注意を怠ったとして、遺族は施設を運営する社会福祉法人を相手に、約2960万円の損害賠償を求めました。福岡地裁は9月9日、認知症の利用者を見守る義務に違反したとして、約2870万円の支払いを施設に命じました。