インドの貧民街で救済事業に生涯を捧げたマザー・テレサが、キリスト教カトリック教会における最高位の崇拝対象である「聖人」に列せられた。テレサは1979年にノーベル平和賞を受賞。その後も精力的に活動を続け、1997年に死去している。没後19年の早さで聖人に認定されるのは、異例だと言う。

9月4日に発表されたこのニュースは、欧米やインドのメディアを中心に大々的に報道された。ローマ法王フランシスコは同日、バチカン・サンピエトロ広場に集まった多数の信者を前にして、「カルカッタのテレサを聖人に」と宣言。この映像は、テレサの墓があるインド・コルカタのマザーハウスにも中継され、大勢が歓喜した。

「聖人」認定の条件とは?

「聖人」とは、キリストの模範に忠実に従い、その教えを完全に実行した人のことで、認定される条件は、「殉教」しているか、奇跡を2つ以上起こしていること。テレサは死後2つの奇跡を起こしたとして聖人認定された。

1つは、テレサの死後1年後、腹部腫瘍に苦しむインド人女性と、看護していた修道女らがテレサに祈ったところ、完治したというもの。2つ目は、昨年、列聖に向けて承認されたもので、脳腫瘍のブラジル人男性の家族が2008年、テレサに祈り、男性が回復したことが奇跡として認められた。

テレサの行為に「神」を感じた人々

今なお世界中から尊敬を集めているテレサ。いったい彼女の何が世界を感動させるのだろうか。

ニューヨークタイムズ紙(6日付)には、テレサによりインドのカルカッタに設立された、「死を待つ人々の家」の近所に住む人々へのインタビューがいくつか紹介されている。

記事によれば、施設の近所に住んでいた男性は、修道女たちが死にかけの人の傷口から、丁寧に蛆虫を取り除くのを見て、「最初は恐怖だったが、彼女たちが治療をするのを見ているうちに、人間の体には『神』が宿っていると思うようになった」という。また、別の男性は、ヨーロッパ生まれの一人の少女が全てを捨ててインドにやってきたことに対して、「いまから数百年後に、テレサの話を聞いた人々は、そんな女性が存在したという事実にあっけに取られるだろうね」と、強烈な印象を受けたことを語っている。

情熱の源にあったもの

その行為の中に「神」を垣間見させたテレサ。その行動を起こした情熱の源には一体何があったのだろうか。

大川隆法・幸福の科学総裁は2013年8月にテレサを招霊し、生前の活動、信仰観などについて聞いた。世界の人々を感化させた強い情熱と使命感について、テレサの霊はこのように答えている。

「『私の情熱の源が何か』は分かりませんが、ただ、私に言えるのは、『私は、神の情熱によって創られた人間である』ということです」

テレサの行為に「神」を垣間見たのは、人間が皆、「神の情熱によって創られた」存在だからかもしれない。そして、それを自覚するか否かが、行為を分けるのだろう。

列車の中で聞こえた「声」に従い、その後の50年近くを使命に捧げたテレサの人生は、これからも、人々に感動を与え続けるはずだ。(片)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『マザー・テレサの宗教観を伝える』 大川隆法著

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