新海誠監督の最新アニメーション映画「君の名は。」が驚異的な大ヒットを記録している。公開からわずか8日間で212万7800人を動員し、興行収入は27億円を超える。口コミでの評判もあり、その勢いは止まりそうにない。

睡眠中に魂はからだを抜け出す?

これから観る方のため、詳細には触れないが、ストーリーの設定は「都心の男子高校生と山深い田舎町の女子高生が、夢の中で入れ替わる」というもの。これだけ聞くとありがちな内容に思えるが、予想外の展開に目が離せなくなる。

この映画のネタ元の一つは、小野小町の歌「思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを」(古今和歌集)だという。「恋しい人のことを思いながら寝たから、夢にあの人が出てきたのだろうか。夢と知っていたら、覚めなかったのに」といった意味だ。

この歌のように、昔の日本では、「相手が自分を思っていると、相手が夢に出てくる」という考えが一般的だった。

映画「君の名は。」には、そうした日本古来の霊的な世界観が流れているといえる。

もう少し踏み込んだ霊的真実を述べれば、「人間の本質は魂であり、魂は睡眠中に体を抜け出すこともある」ということだ。こうした霊的な思想について、頭から否定する人もいるかもしれないが、霊的な存在ということを頭に入れながら本作品を観ると、より深くストーリーがしみこんでくるかもしれない。

思いと行動で未来は変えることができる

さらに本作品では、ある種の深刻な災厄が出てくる。多くの人が惹きつけられる映画には、後から振り返るとまるで未来を暗示しているようなものもあった。たとえば2008年公開の映画「崖の上のポニョ」では津波が描かれていたが、2011年の東日本大震災を暗示していたかのようだ。

「君の名は。」で出てくる災厄も、何らかの戦乱や、空からの攻撃のようなものを予感する人もいるだろう。

だが、未来は変えることができる。歴史上、恐怖の予言をした人々がいるが、一方で、その恐怖の予言を変えるための道を示してきた人もいる。多くの人が考え方と行動を変えれば、その集合想念によって、差し迫った危機を回避し、明るい未来を創ることは可能なのだ。本作品はそうした希望も示してくれる。(賀)

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