ロシアの国営石油会社と英石油大手BPが北極海の石油・天然ガス開発に合意したことを欧米各紙が30日までに報じている。ロシアが北極海での資源開発を本格化することで、「北極圏のロシア化」を進めようとしていると見ていいだろう。

朝日新聞も後追いで30日報じたが、それによると、北極圏での資源開発をめぐっては、ロシア、アメリカ、カナダ、ノルウェー、デンマークが開発権を主張して対立。ロシアは07年に北極点の海底に潜水艦でチタン製の国旗を立てて猛アピールしているという。

ロシアとBPの合意に、アメリカ議会は「安全保障に関わる由々しき問題だ」と反発を強めている。

というのも、北極海で問題になるのが資源開発と同時に、海上交通路(シーレーン)としての新たな機能だ。ロシアは2010年夏、砕氷船が先導した大型タンカーによる北極海横断を成功させており、温暖化でさらに北極海の氷が解けると、世界的な交通の要衝になる可能性がある。

ロシアはヨーロッパからアジアへのシーレーンを握り、シーパワーとして台頭するための布石を打っている。それはもちろん日本に無関係ではない。(織)

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