1989年3月12日、IT革命の火付け役が誕生した。インターネットだ。

7月28日は、インターネットが誕生して1万日目に当たる記念日だった。ウェブブラウザFirefoxのツイッター公式アカウントでは、「Today is the 10,000th day of the Web!(今日はウェブ誕生から1万日目です!)」と、祝福のメッセージがつぶやかれた。

インターネットはいまや日常に欠かせない、情報インフラとなっている。

総務省の調査によると、2014年末で国内のインターネット人口普及率は82.8%。5人に4人が使っている割合だ。ここ10年間を見ても、16%ほど伸びている。

インターネットの利点としては、時や場所を選ばず、欲しい情報にすぐにアクセスできること、政府や企業などが発表する、1次情報にアクセスしやすくなったことなどがある。

AIとIoTの登場でインターネットは新たな段階へ

そして今、インターネットは新たな段階に入ろうとしている。背景には、人工知能(AI)とIoT(モノのインターネット)の登場がある。

これまでのインターネットは、コンピュータ同士を結ぶのみだった。

それに対して、IoTでは、今までネットワークに接続されていなかったモノ同士をつなげる。その仕組みは、モノにつけられたセンサーを、インターネットでつなぎ、得られた情報をコンピュータで管理。その情報をAIなどで分析し、質の高い製品やサービスの開発につなげていくというものだ。

工場を例に挙げるならば、IoTを導入することで、工場内の機器をインターネットでつなげ、設計から部品の供給まで、最も効率的な生産体制を作り上げることが可能になる。こうなれば、人間の仕事は、工場が正常に稼働しているかを監視するだけになる。

大量の情報を短時間で処理する能力で、人間には到底不可能だった生産効率を実現することもできる。

インターネットで思考の時間が失われた

こうしたインターネットの利点の一方で、負の部分にも目を向ける必要がある。

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』の中で、こう語っている。

「インターネットや携帯電話をよく使っている人たちは、『一日の持ち時間は増えない』という原点を見落としているのです。(中略)これらの時間が増えた分、逆に、減った時間、消えた時間があるはずです。それは、実は『考える時間』です」

読書などで良質な情報を得ることなく、インターネットで質の悪い情報にばかり触れていると、気づかないうちに、知力は落ち、仕事などで必要となる大事な判断力を欠いてしまう。そうなれば、人間がネットや機械を使っているのか、ネットや機械が人間を使っているのか分からない状態になっていく。自分が手にする情報の質を見極める必要がある。

IoT社会では、インターネットの役割は今以上に大きくなるだろう。今後のインターネットとの付き合い方を考える上で、改めてその功罪について理解しておきたい。

(冨野勝寛)

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