2016年8月号記事
国防女子が行く!
台湾で新政権の国防ナンバー2に直撃インタビュー
民主国家との連携を強めたい
台湾で、親日的な民進党の蔡英文政権が5月に発足しました。同政権の国家安全会議の副秘書長に任命された陳氏に、就任直前に話を聞きました。
(編集部 小林真由美)
民進党
国家安全会議副秘書長
陳文政
プロフィール
(ちん・ぶんせい) 淡江大学国際事務戦略研究所准教授。淡江大学国際事務戦略大学院で修士課程修了後、英ランカスター大学で国際関係と政治学の博士課程を修了。民進党の国防チーム召集人として、国防政策の立案に携わってきた。
中国と台湾の間には、「両岸関係」といって、台湾が中国の一部なのか、別の国なのかという議論があります。台湾は、中国とは別の独立した国だと主張していますが、中国にとっては、台湾の併合は悲願です。
台湾が中国に併合されれば、日本の国防も危うくなります。台湾問題は日本の安全保障において、とても重要なのです。
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取材場所に指定された、台北市の民進党本部。
──蔡政権下で、台湾と中国の関係はどのようになりますか?
陳文政氏(以下、陳): 台湾は中国の一部なのか、それとも独立した国なのかという両岸関係の議論において、台湾はもともと独立した国だという立場でした。しかし、1971年に台湾が国連から脱退し、世界から孤立していく中で、国際社会では、中国の言い分が影響力を持つようになりました。この議論において、中国と台湾は平行線をたどっています。
マスコミ報道では、連日、台湾と中国の考え方の違いに焦点が当てられています。しかし私は、むしろお互いの共通点や合意できるところを探すことが大事だと思っています。
ただ、これまで多くの台湾企業は、中国経済への依存を高めてきましたが、実際に中国に進出した多くの台湾人ビジネスマンは、中国への投資で損をすることが多く、後悔して撤退している企業も多くあります。
台湾は民主国家です。中国一辺倒ではなく、ベトナムやフィリピン、マレーシアなど、 お互いの価値観を理解し合える民主国家との連携をさらに強化していきたいと考えています。