沖縄県うるま市で起こった元米兵による女性会社員殺害事件を受け、那覇市にある奥武山公園陸上競技場にて県民大会が行われた。

翁長雄志沖縄県知事は、21年前に起こった米兵による事件を振り返り、知事として政治的な対策を取ることが出来なかったことを謝罪し、普天間基地を県外に移設することを求めた。大会全体としては、事件への抗議や、沖縄から海兵隊の基地をなくすことなどが訴えられた。

ほとんどの市長が不参加

「県民大会」と名付けられた今回の大会だが、自民党や公明党や、沖縄県の11市のうち9市の市長が不参加。これは本当に沖縄県民の意思なのか、という疑問が浮かぶ。

また、大会主催者である「オール沖縄会議」は、6万5000人の参加者が集まったと発表したが、会場の規模や写真などから参加者は最高でも3万人前後であると見積もられるという(産経新聞など)。沖縄県の総人口は140万人以上であり、県民の総意というよりは「一部勢力の意見」と言えるだろう。

国防に向けて大局的な視野を

この大会で訴えられた「沖縄から海兵隊の基地をなくす」ことが実現すれば、自分たちの手で沖縄を防衛する必要がある。しかし戦後、憲法9条を改正することもできない日本が、今まで海兵隊が担っていた役割をすぐに果たすことができるだろうか。

ここ最近、中国軍艦が尖閣諸島の接続水域に進入するなど、中国の脅威がさらに増し、漁業関係者からは不安の声が上がっている。尖閣諸島を有する石垣市長の中山氏は危機声明を出し、漁業関係者の安全の確保をするように要請した。このように、沖縄では中国の脅威が身近に感じられるようになり、国防の重要性が叫ばれ始めている。

今回のような痛ましい事件を二度と起こさないように努力をすることは大切である。しかし、一人の元米兵が起こした事件から米軍自体の存在を否定し、国家戦略に関わる問題にまで発展させるのは、明らかにやり過ぎだろう。

これは、警察官が事件を起こしたら、「もうわが県に警察は要らない。出て行け」と言うようなものだ。特に沖縄の海兵隊の存在は、沖縄県の安全のみならず、日本とアジアの安全保障にまでかかわる。

感情的になるのではなく、正しい情報に基づいて冷静に判断をした上で、日本はどうするべきなのかを見極めることが大切だ。(志)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『沖縄の論理は正しいのか?―翁長知事へのスピリチュアル・インタビュー―』 大川隆法著

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