安倍晋三首相は、来年4月に予定している消費税率の10%への引き上げを再延期することを示唆した。各紙が報じている。

これは、伊勢志摩サミットの世界経済の立て直しに関する討議における、安倍首相の発言に端を発している。

安倍首相は討議の中で、世界経済の現状について、「今まさに分岐点にある。対応を誤ると危機に陥るリスクがある」と語り、2008年のリーマンショック直前に似ているとの見方を示した。

同首相は増税延期の条件に、リーマンショック並みの危機を挙げていることから、この発言により、増税の延期の可能性が高くなったと見られている。

中止ではなく、延期では財布のひもは締まったまま

ただ、本欄でも再三指摘したように、消費税率を上げてもトータルの税収は増えない。実際に消費税率を8%に引き上げた直後、個人消費は落ち込み、2014年4月~6月の実質GDP成長率はマイナス6.7%に落ち込むなどの悪影響があった。

安倍首相自身も今年3月、参院予算委員会の中で、「8%引き上げで、予想以上に消費の落ち込みが大きく、長く続いた」との見解を示しており、消費増税の経済への悪影響を認めている。

そうであるにもかかわらず、安倍首相は消費増税を「延期」するとは言っても、「中止」するとは言っていない。将来的に増税することが決まっているならば、国民の財布のひもは締まったまま。個人消費も上がることなく、景気回復にはつながらない。

政治判断の責任から逃げてはいけない

問題は消費増税だけではない。

小渕恵三政権下の地域振興券や、麻生太郎政権下の定額給付金など、自民党政権は、数千億円規模の給付金を何度もバラまいてきた。そうして積み上がった借金は、1000兆円にも及ぶ。自民党はこの責任を取るどころか、選挙前に、低所得高齢者を対象とし、再び給付金をバラまこうとしている。これでは、借金は増えていく一方だ。

政治家である以上、判断責任から逃げてはいけない。政府は経済政策の誤りを認め、減税による経済成長へと舵を切る必要がある。

(冨野勝寛)

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