(Wikipediaより)

東京都立川市は24日、同市在住の、ろう者登山家、田村聡さんが世界最高峰の山・エベレスト(8848メートル)の登頂に成功したと発表した(25日付東京新聞)。

市によると、田村さんは「耳が聞こえない人の登頂は世界で初めて」と説明したという。また、全日本ろうあ連盟は、「海外のケースは分からないが、日本人では初とみられる」としている。

失敗しても諦めずに挑戦し続けた

田村さんは生まれつき、耳が聞こえないというハンディを持つ 。山好きの父と叔父の影響で13歳から登山を始め、それ以来37年間、北アルプスの山などを登り続けてきた。高校生の頃、日本の登山隊がエベレストに初登頂した新聞記事に衝撃を受け、「自分もいつか必ず、世界のいちばん高いところに立つ」と、エベレスト登頂の夢を描いてきたという。

エベレストに初めて挑戦したのは2014年。標高7,950mの時点で、天候悪化により断念した。2015年に再度挑戦した時は、ネパール大地震に見舞われ、中国政府から登山中止の通達を受け、やむなく帰国。 今回、高地トレーニングを重ね、3回目の挑戦でついに成功した。

「困難に挑む勇気と夢を持つことの大切さを伝えたい」

エベレストに登るための支援金を募る田村さんのウェブサイトには、次のように書かれている。

「標高8,000mを超えた世界は、一瞬のミスで命を落としてしまう死のゾーンです。耳が聞こえなくても健聴者でも、その危険度は同じです。しかし、聞こえない私は音の判断ができません。遠くで崩れる大規模な雪崩も私には聞こえません。(中略)目でよく観察し、第六感にも頼らなくてはなりません」

目が見えず、耳が聞こえないヘレン・ケラーのように、ハンディを克服した生き方をすることで、多くの人に希望の光を投げ掛けた人もいる。障害を持って生まれた人の使命について、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『心と体のほんとうの関係。』で次のように述べている。

たとえば、心臓が悪くても、『これで私は不幸になりました』と言って一生を終わるのではなく、そういうハンディを持っていながら、人並み以上のことをいろいろと行うと、それが他の人々にとって救いの光になることもあります。そのため、優れた人が何らかの障害を持って生きることもあるのです。そういう手本を見せるために、あえて重度の障害を持って生まれてきたりするわけです

田村さんは、エベレストに挑戦する理由を「健常者も障害者も平等だと世界に強く訴える」としている。また、「耳が聞こえない私が登頂することで、困難に挑む勇気と、夢を持つことの大切さを世の中へ伝えることができます」とも述べている。

健常者も障害者も差別なく平等にチャンスがあることを、身を持って証明した田村さんの快挙は、多くの人に感動と勇気を与えたに違いない。今後の挑戦に注目したい。

(小林真由美)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ヘレン・ケラーの幸福論』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1342

幸福の科学出版 『心と体のほんとうの関係。』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=124

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