ディズニー・アニメーション最新作「ズートピア」(4月23日公開)がじわじわと人気を上げている。公開3週目に入ってから首位を獲得し、約28万8000人を動員。興行収入は約3億8700万円(興行通信社提供)という。全世界の興行収入は9億ドルを超えた。

この作品は、動物たちが人間のように暮らす楽園「ズートピア」で、「人参をつくることがウサギの"人生"」とされるなかで、夢をあきらめない新米警官・ウサギのジュディの奮闘を描いたもの。「キツネらしく詐欺師として生きる」ことを選んだキツネのニックと反発しながらも事件を解明していく……というストーリーだ。

アニメ映画ながら、「大人から子供まで楽しめる」と話題になっている。また、多種多様な動物たち同士の関係は人間社会における差別や偏見を投影しており、社会問題にも切り込んでいる。

ディズニー作品には、大人の根強いファンも多い。大人まで虜にするディズニー作品の秘密は、どこにあるのだろうか。

ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社で「ディズニー・オン・クラシック」を企画製作した中田昭利氏の著書『ハリウッドから学ぶ世界No.1の遺伝子』から、ディズニー「5つの遺伝子」の一部を紹介しよう。

人を幸福にする仕事をする

中田氏は「5つの遺伝子」の筆頭に、ウォルトの言葉である"Our job is to make people happy"、つまり「私たちの仕事は、人を幸福にすること」を挙げる。これはディズニー社の根底を流れる理念となっているが、その言葉の通り、ディズニー作品はいずれも夢や希望をもたらしてくれる。

「ズートピア」でも、主人公のジュディの姿からは、「夢を持って進み続けることで人生が変わり、世界も変えていける」というメッセージが伝わってくる。子供も大人も、「自分にも幸福を作り出す力がある」という希望を抱かせてくれるだろう。

キャラクター作りのためにケニア取材

さらに中田氏は、ディズニーが「『人の動き』や『演出』『内容』といったソフトの部分に、徹底的にこだわっている」という点を挙げている。大ヒット映画「バンビ」の撮影時にも、ウォルトはカメラマンにシカの生態を観察させたり、アニメーターに本物のシカを連れてきてスケッチさせた。

「ズートピア」のスタッフも、アフリカ・ケニアへ取材に行き、動物の生態や性格を徹底的に観察してキャラクターを作り上げたという。ウォルトの精神が、時代を超えて受け継がれているのだ。

キャラクター作りにも秘訣がある。中田氏は、「観客から共感を引き出すキャラクター」というポイントを挙げる。映画「白雪姫」の大成功は、キャラクターが「人格」を持ち、人間のように生き生きと動いているという評判によってもたらされた。

「ズートピア」でも、「あなたに似ているキャラクターがきっといる」というキャッチフレーズのとおり、個性的で親しみの持てるキャラクターが数多く登場する。多種多様な人間の性格や心理について、徹底的な研究が行われていることが伺える。

このように、「人を幸せにする」「細部にこだわり徹底的に研究する」「共感を引き出す」といった理念は、映画製作に限らず、あらゆるビジネスにも通じる。ウォルトが残してくれた精神に改めて注目してみたい。(朗)

【関連書籍】

幸福の科学出版『ハリウッドから学ぶ 世界No.1の遺伝子』中田昭利著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1661

幸福の科学出版『ウォルト・ディズニー「感動を与える魔法」の秘密』大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1125

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