企業の情報漏えいが問題になる度に、マイナンバー制度への不安が募る。
ベネッセホールディングスは11日、原田泳幸会長兼社長が退任することを発表した。
同社は昨年度(平成28年3月期)の業績予想を下方修正し、最終損益が82億円の赤字に転落することを発表。二期連続の最終赤字となった。
この赤字は、2014年7月ごろ話題になったベネッセが管理する個人情報が顧客データベースを管理するシステムエンジニアによって流出した事件が深く影響している。この情報漏えいによってベネッセの運営する「進研ゼミ」の会員数は10%ほども減少した。
原田氏はその責任を取った形となる。
情報の電子化によって我々の生活はより便利なものになっていくが、そのリスクも熟慮しなければならない。つい先日もgoogleやyahooなどが提供するメールサービスのアドレスとパスワードが組み合わせになった個人情報が漏洩した可能性があることが報じられた。
どんなに権威や技術のある組織であっても、個人情報を完璧に守り切ることが難しくなってきている。この点においてはマイナンバー制度も例外ではないだろう。
マイナンバーによって一括管理される個人の、特に財産に関わる情報が、国家や見ず知らずのハッカーに握られる可能性がある。また、ベネッセのように人為的なミスや内部からの故意の流出があることも懸念材料だ。
政府はマイナンバー制度を通して効率的に税金の徴収を行いたいのであろう。しかし、日本の景気が良くならないことには、財政が恒常的に改善するはずがない。
国民の幸福や安全のためにも、政府はマイナンバーによって税収増をはかるのではなく、税金を軽くすることによって景気を回復し、国家財政を建て直す道を選んでもらいたい。(藤)
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