香港にある天安門事件を扱った「六四記念館」が、閉鎖される見通しだ。

天安門事件とは1989年6月4日、中国の天安門広場に民主化を求める学生が集まり、デモを行っていたところ、中国当局が戦車などで武力弾圧した事件。

六四記念館は2014年4月、愛国民主運動連合会(以下、連合会)という市民団体が、香港の中心地・尖沙咀(チムサーチョイ)のビルに開館。天安門事件の映像や写真を展示していた。

だが、ビルのオーナーが、「事務所としてのみ使用許可を出したのに、賃貸契約に違反している」と訴訟を起こした。また別の入居者らも「多数の訪問者が来て営業に差し支える」として記念館の閉鎖を求めていた。

六四記念館は、膨らむ訴訟費用を払いきれないため、6月4日以降は閉鎖される方針だ。

閉鎖は、中国政府による政治的な圧力?

連合会の代表で香港民進党の何俊仁(アルバート・ホー)主席は、「この圧力の裏には、政治的な背景がある。ビル管理室は、記念館を訪れる人々をいちいちチェックし、訪問記録も残すことを要求してきた。そのため、記念館を訪れた中国人観光客たちが帰ってしまうことも多かった」と語っている(4月16日付朝鮮日報日本語版)。

中国政府は言論統制を強めており、圧力をかけて記念館を閉鎖に追い込んだ可能性は十分ある。弊誌のインタビューに対し、何代表は天安門事件について次のように語った。

「今年は、天安門事件が起きてから27年目です。26年間、香港の活動家たちは、断固たる姿勢で中国政府が行った大虐殺に立ち向かい、中国の民主化にも取り組んできたのです。香港の人たちは、本当に苦しい時代を堪えてきました。

中国政府は、『犠牲者の数は約300人』と発表していますが、ある国際NGO団体は『犠牲者数は7000人』と主張しています。中国政府は、この事件を忘れさせようとしています。でも私はいつか真実が明らかになると思っています。この事件を風化させてはいけません」

天安門事件の時のように、香港や台湾などで民主化を求める活動家たちが、中国政府に武力弾圧されるような悲劇は繰り返してはならない。そのために、日本やアメリカ、その他の民主主義国は、香港や台湾での民主化運動をバックアップする必要がある。

(山本泉)

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