広島市で先進7カ国(G7)の外相会合が開かれた。各国の外相は、テロや難民に加え、南シナ海問題や北朝鮮の核兵器開発について議論を交わした。

11日には、各国の外相が核軍縮や不拡散問題について協議。その後、アメリカのケリー国務長官が平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑にも献花。アメリカの現職の外相が平和公園を訪れるのは初めてのことだ。

ケリー氏は、「広島は私にとっても特別な意味を持つ場所だ。平和記念公園はいかに平和が重要かを示すもの。大量破壊兵器などの絶滅のために両国がリーダーシップをとる必要がある」と語った。

原爆投下の誤りを認めないアメリカ

1945年、アメリカが原爆を投下したことによって、広島では約14万人、長崎では約7万人が亡くなった。北朝鮮や中国が軍拡を続ける中、広島から原爆投下の恐ろしさを世界に発信することは重要だ。

当時、日本は降伏寸前であったため、「戦争を終わらせるため」という理由で原爆を投じる必要はなかった。近年、アメリカの歴史学者の中にも、原爆投下を疑問視する意見が出始めている。

しかし、アメリカの大統領は、いまだかつて日本への原爆投下に対して謝罪をしていない。アメリカでは、退役軍人を中心に、原爆投下を正当化する世論も根強いためだ。

ただ、5月の伊勢志摩サミット後に、オバマ米大統領が平和記念公園を訪問することが検討されていると報じられた。オバマ氏は就任直後、「核なき世界」を提唱するプラハ演説を行い、ノーベル平和賞を受賞している。10日付ワシントンポスト紙によれば、オバマ大統領が広島で、同様の演説をする可能性も出てきているという。

日本は正しい歴史観を世界に発信すべき

アメリカが原爆投下の誤りを認めることは、「日本を悪とし、中国を守る」という、戦後の歴史観を転換させることにつながる。

今年は、東京裁判から70年の節目の年。この東京裁判も、連合国側の裁判官によって行われ、日本に対して全く公正なものではなかった。

弊誌のインタビューに対し、米ウィスコンシン大学博士課程で、東京裁判や日本の近現代史を研究するジェイソン・モーガン氏は次のように語った(2015年11月号記事)。

「第一次大戦後、アメリカは新しい国際秩序を構築したばかりでした。その頃の資料を見ると、日本が大東亜共栄圏という新しい国際秩序を創ろうとしていることを、アメリカ政府が大変懸念していたことが分かります。このため、日本が世界を乗っ取る計画を持っているかのようなプロパガンダを行ったのです。

(中略)日本は、有色人種が人間として平等に扱われることを心から願っていたのです。もしあの時、日本が主導的に新しい国際秩序を創ろうとしなかったなら、むしろ日本は無責任だったと言えるでしょう」

日本は、第二次大戦の真実について世界に発信していく必要がある。原爆投下の真実を知らされていないアメリカの人々に対しても、真実を伝えていくべきだろう。

(山本泉)

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