2016年5月号記事

もう田舎とは呼ばせない

新・日本列島改造論

働きたくても仕事がない。これが地方の悩みだ。だが、日本を繁栄させるビジョンはある。ここで「新・日本列島改造論」とも言うべき交通革命、未来産業投資、農業などの大胆な自由化の3つを紹介したい。

(編集部 山本慧)


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(1)新幹線を引けば人口は増える

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新幹線がない地域では、若者が仕事を求めて大都市に流出するため、過疎化が進み、年金頼みの高齢者の割合が高くなっている(上図)。

つまり、日本全国に新幹線を通して、地方と都市部の移動時間を短くすれば、企業や工場の進出に加え、観光客の増加が期待できる。若者が都市に留まって帰って来ない状況も防げる。

実際に、開業から1年を迎えた北陸新幹線では、北陸と首都圏を行き来した人が、開通前の在来線と比べて、3倍となる約900万人に増えた。

高速道路の整備や有料道路の無料化、航空機の活用も進め、地方と都市の交流を促す「交通革命」を起こせば、地方はまだまだ発展できる。キーワードは「時短」だ。

(2)地方の海に眠る300兆円

日本の近海には、300兆円に相当する石油などの海洋資源が眠っているとされる。

天然ガスの一つであるメタンハイドレートは、日本の100年分の需要を賄う埋蔵量が確認されており、東海沖では、天然ガスの国内消費14年分の資源量が見つかっている。

こうした資源を開発すれば、地方の港には、石油プラントなどの工場が立ち並び、タンカーもひっきりなしに接岸するだろう。不振が続く造船業の復活も見込める。経済波及効果は年間8兆円、新規雇用者10万人が創出されると推計されている。

新エネルギーを含む未来産業への投資は、地方を救う起爆剤になる。

次ページからのポイント

バラマキではなく、新しい仕事をつくる「ジョブ・クリエーション」」