2016年5月号記事
HSU論壇 特別編
自由は失われたときに真価がわかる
経済学者
ケン・スクールランド
(Ken Schoolland)ハワイ太平洋大学経済学部准教授。ジョージタウン大学を卒業。第38代米大統領ジェラルド・フォード政権では、ホワイトハウスの貿易交渉特別代表を歴任。ミーゼズやハイエクのオーストリア学派に属する。モンペルラン・ソサイエティ(共産主義と計画経済に反対し、自由主義を世界に広げるための組織)会員。
自由主義の世界的権威であり、国際経済学者のケン・スクールランド氏が、HSU春休み特別セミナー「自由主義の本質」を東京・赤坂で行った。
セミナー後、同氏に経済的自由の大切さについて聞いた。
(編集部 長華子)
自由主義について風刺画風に描いたケン・スクールランド氏の著書「ジョナサンの冒険」。45ヶ国語に翻訳されている。
――富裕層のお金を再分配せよという経済学者ピケティの著作が流行っています。このトレンドをどう見ますか?
スクールランド氏(以下、ス): 彼らの思想は悲劇的です。なぜなら、政府が、「君たちの生活に責任を持つ」と言って国民の面倒を見始めると、自分の人生に無責任な人が増えるからです。
政府の社会保障でお年寄りの面倒を見るという考えも間違いです。若者がお年寄りを尊敬しなくなってきているのを見てください。政府が面倒を見てくれるから、お世話になった年長者への責任感がないのです。
また、ハワイでは失業中の人が年間3万3千ドル(約366万円)の手当てがもらえますから、貧しい人たちの面倒を見る必要もありません。これでは、自発的にお互い助け合おうという気持ちはなくなります。社会の絆を壊してしまうのです。
民主主義と宗教の関係とは
文化大革命を生き抜いたリ・スクールランド氏のインタビュー