北朝鮮による核実験やミサイル発射を受け、国連の安全保障理事会が2日、これまでで最も厳しい制裁を課す決議を全会一致で採択した。

この制裁は、北朝鮮が核・ミサイル開発計画を断念するよう圧力をかけるためのもの。

制裁では新たに、北朝鮮の貿易額の半分を占めている鉱物資源の輸出を禁じた。また、これまでは限定的に行われていた貨物検査も、各国がすべて行うことになった。

中国は、韓国へのTHAAD配備を避けるために制裁に同意?

中国は当初、制裁に難色を示していたが、最終的に同意した。背景には、アメリカによる「韓国へのTHAAD(高高度迎撃ミサイル)配備に向け協議に入る」という発表の影響があったようだ。

中国は、THAADが中国軍の監視のために使われかねないと反発してきた。結局、アメリカはTHAADの配備を延期した。水面下でアメリカと中国が交渉を行い、THAADを配備しないことを条件に、中国が制裁に応じた可能性が高いとの報道もある。

一方、北朝鮮はこの決議に強く反発。3日、日本海に向けて、短距離型ミサイルを6発発射した。さらに金正恩第一書記は翌4日、いつでも核兵器を発射できる準備を整えておくよう指示。軍には「先制攻撃」態勢に入るよう命じた。

「経済制裁は、戦争行為の一つ」と受け止められている

今回、厳しい制裁が採択されたことは望ましい。だがこの制裁の効果は、北朝鮮の貿易額の約9割を占める中国が、どれだけ厳密に行うか、にかかっている。

評論家の西尾幹二氏は、このほど発売された「正論」4月号で、国際社会では、経済制裁が戦争行為の一つと見なされており、そう思わないのは日本人だけだと指摘している。

確かに、先の大戦前の日本も、アメリカから石油の禁輸などの経済制裁を受け、追いつめられて開戦に至った。西尾氏はこの文脈で、日本は、北朝鮮がミサイルを打つ前に基地を攻撃できる能力を持つべきだと主張している。

追いつめられた金正恩・第一書記が、韓国に軍事侵攻したり、本当に核弾頭を発射する可能性は十分ある。前出の「正論」では、東京基督教大学の西岡力教授が、「金正恩が核ミサイルを完成させれば、日米韓に使うことは十分あり得る」として、「日本も独自核武装を早急に検討すべき」と主張している。

日本の都市に核が撃ち込まれれば、数千万人が命を落とす

万が一、日本の東京や大阪、名古屋や福岡など主要都市などに核ミサイルが撃ち込まれれば、数千万人が命を落とす。 北朝鮮に核兵器を使わせないためにも、日本は「核装備」を検討する時期が来ている。

日本が核装備をする場合、アメリカの核兵器を共有することが、最も現実的だろう。ドイツも、アメリカと「核シェアリング」をしており、有事の際は、アメリカの許可を得て使用できる。イギリスも、アメリカと対等の立場で核兵器を共有している。

あまり時間は残されていない。国民の生命を守ることこそ、政治家の最大の仕事だ。

(山本泉)

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