愛知県大府市で2007年に、認知症の男性(当時91歳)が、徘徊中に列車にはねられ死亡した。振替輸送などの費用がかかったとして、JR東海が当時85歳だった妻と長男に約720万円の損害賠償を請求していた。これについて最高裁は1日、家族に責任はないと判断し、JR東海の賠償請求を棄却した。

今回の判決は、介護に悩んだり、不安を抱えたりしている多くの国民の感情に応えた結果だと評価されている。自分が介護している認知症の人が損害を与えた場合の責任を考えると、「介護しきれない」と思う人も多いようだ。

認知症介護による悩み

今は、高齢社会に加え、高齢者の7人に1人が認知症という「認知症社会」を迎えようとしている。

認知症とは、脳の細胞の働きが悪くなり、生活に支障が出ている状態と言われる。物忘れが激しくなったり、夜中に徘徊するなど、介護の負担がかかることも多い。介護疲れからうつになったり、将来を悲観して自殺するケースもある。また、認知症の家族を虐待したり、エスカレートして殺人につながることもあり、社会問題になっている。

介護疲れの理由の一つに、認知症の人に介護をしても意味がない、明るい未来が描けないと考えてしまうことが挙げられる。こうした認知症介護による不幸を減らすには、認知症の本質を理解することが必要だ。

認知症でも魂は健常

人生のさまざまな悩みに宗教的な解決策を示している大川隆法・幸福の科学総裁は、認知症について次のように述べている。

「いま認知症であれば、家族に迷惑がかかりますし、本人も苦しいと思います。本人は心のなかで周りの人にお詫びをしていると思います。(中略)人間の肉体は、"機械"としての面では、いろいろなところが弱ってくるので、頭脳の機能などがうまく働かなくなることはあります。しかし、そのようになったときでも、"霊的には完璧"です。したがって、「周りが言っている悪口などが本人の魂に聞こえている可能性は高い」と思い、口を慎んだほうがよいのです」(『心と体のほんとうの関係。』)

一見、何も分かっていないかのように見える認知症の人も、魂は健常で、介護者がその人にかけた温かい言葉や愛の思いは敏感に感じ取っている。

介護はほんとうの愛を学ぶ機会

介護する側は、その無私な行為を通して、「与える愛、尽くす愛、奉仕とは何か」を考え、他人に対する献身の心を学ぶ機会と捉えることもできる。厳しい環境であったとしても、いかに明るく、朗らかに生きられるかが、本人の魂を光らせるための試練になっているという考え方もある。

こうした認知症の本質を知り、家族のきずなで困難を乗り越え、幸福な晩年を過ごす人が増えることを望みたい。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『心と体のほんとうの関係。』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=124

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