2016年4月号記事
アメリカ大統領選
トランプの正体
この暴言王は日本の友人か?
アメリカ大統領選がいつになく盛り上がっている。中でも共和党候補の一人、ドナルド・トランプ氏は、暴言を連発して国際社会も巻き込んだ論争を起こしているのに支持率トップ。この不思議な現象を探ると、アメリカで今、何が起きているかが見えてくる。
contents
1 選挙の仕組み
ざっくり分かるアメリカ大統領選
国民の心と強運をガッチリつかむのは誰? ……本誌p.28
2 分析
ヒトラーか ?スーパーマンか?
トランプの暴言の裏にアメリカの今が見える ……本誌p.32
3 トランプ研究
成金か? 人格者か?
ドナルド・トランプ物語 ……本誌p.38
4 予測
世界ナンバーワン大国の選択
新大統領誕生で日本と世界はどう変わる? ……本誌p.42
1 選挙の仕組み
ざっくり分かるアメリカ大統領選
共和党候補 / 民主党候補
国民の心と強運をガッチリつかむのは誰だ?
今年のアメリカ大統領選は、暴言を連発するトランプ氏や、「社会主義者」を自称するサンダース氏が予想外の支持を得る、異例の事態になっている。それは、アメリカ社会の今を反映した現象だ。
(編集部 小林真由美)
ヒラリー・クリントン(68)
元国務長官。抜群の知名度と資金力を武器に、女性初の大統領を目指す民主党の本命候補。既存の政治家に不満を持つ国民からは批判され、予想外の逆風に苦戦中。
バーニー・サンダース(74)
「社会主義者」を自称し、格差是正を訴える。大銀行の解体や富裕層への課税強化、公立大学の無償化などを主張。若い世代から熱狂的な支持を得る。
ドナルド・トランプ(69)
強力な経営手腕で巨万の富を築いた不動産王。「イスラム教徒の入国禁止」などの発言で世界を“炎上"させた。今の政治体制に不満を持つ層を中心に支持を得ている。
テッド・クルーズ(45)
キリスト教福音派の信仰を前面に押し出し、税金の無駄遣いを批判して「小さな政府」を推進。草の根運動「ティーパーティー」からの熱い支持を受ける。
ジョン・ケーシック(63)
共和党穏健派。下院予算委員長時代に、財政赤字の削減を指揮するなど、財務に明るい。18年間、下院の軍事委員を務め、外交・軍事にも詳しい。
マルコ・ルビオ(44)
上院外交委員会東アジア小委員を務め、中国・北朝鮮の脅威に詳しい。外交通だが、クルーズ氏と同じく、上院議員一期目で経験不足を指摘されることも。
ジェブ・ブッシュ(63)
大統領を務めた父と兄の地盤を引き継ぎ、知名度は高い。だが、「もうブッシュは嫌だ」という世論もあり、存在感を発揮できず、予備選での人気は低迷中。
アメリカ大統領選の仕組みは、やたら複雑で分かりにくい。
まず、選挙期間が約1年もある。 11月の「本選」の前に、二大政党である民主党と共和党が候補者をそれぞれ1人に絞る「予備選」が全米50州で行われる。
現在は予備選の真っ最中で、各党内で候補者がしのぎを削っている。この予備選の結果を受け、7月末の「全国党大会」で、民主党、共和党それぞれの大統領候補が指名され、本選に進む。 本選では指名候補者同士がディベートで火花を散らす。投票で次期大統領が決まるのは11月8日だ。
そんな選び方でいいの!?
トンデモ候補が人気のワケ
大統領への道は10カ月の長期戦(図)