国連本部(スイス・ジュネーブ)前にて

2016年4月号記事

第43回

釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

国連スピーチ&レポート

国連は"戦場"だった

委員会前、スピーチに臨む釈党首(支援者提供)

2月の半ば、私はスイスのジュネーブで、国連の女子差別撤廃委員会に参加いたしました。

初日には、NGO枠としてスピーチの機会をいただきました。

そこでは、「従軍慰安婦」の虚偽性について訴えた上で、日本神道の主宰神が天照大神という女性であり、125代続く天皇のうち10代が女性であることから、日本は女性の尊厳を守る国であることを述べました。

驚いたのが、翌日の日本審議会です。会場が最も熱くなった論点は、やはり慰安婦の問題でした。

日本政府代表の杉山晋輔・外務審議官は、「強制連行を確認できる資料はなかった」と訴えましたが、委員からは反論が相次ぎます。

例えば、私の目の前にいた中国人の女子委員が次のような質問をしたのです。

「もし慰安婦の問題がないのであれば、なぜ日韓合意をしたのか。なぜ、河野談話において、官憲、そして軍が慰安婦の強制連行に携わったことを表現されたのか。もし安倍首相が謝罪し、誠実な対応をとるのであれば、全ての慰安婦に対し、日本が書面で生存者にお手紙を送付し、加害者の訴追が必要となるのではないか」

杉山審議官が強制連行や性奴隷の存在を否定するたびに、会場にいる国連の女性委員たちは、お互いに目配せし、肩をすぼめて、「まったくお話にならないわ」と言わんばかりに失笑するのです。

その後、質問した委員は中国中央テレビの取材に「納得がいかない」と中国語でまくし立て、日本から来た数多くの左派活動家たちと名刺交換。国連を舞台とした反日世論戦は、こうして広がっていくのでしょう。

国連の場で、慰安婦の強制連行が"事実"になりかけていること、安倍談話や日韓合意が、それを後押しする力になっている実態を、まざまざと見せつけられました。

「慰安婦」の嘘は日本人発

そもそも、「性奴隷」なる言葉自体、日本人が作り出し、国連で広げたものです。

始まりは、戸塚悦朗という弁護士(現在は廃業)が、1992年に国連人権委員会で「慰安婦」のことを「性奴隷(sex slave)」と定義し発表したこと。

それが韓国を刺激し、日本政府はその場をしのぐために翌年、「河野談話」を発表します。

さらに、吉田清治という人物が自著で「済州島で200人の朝鮮人女性を『狩り出した』」と証言。その内容を受け、国連人権委員会が、慰安婦の強制連行に関する「クマラスワミ報告書」を作成し、採択しました。こうして着々と、「日本軍は慰安婦の強制連行をした」という嘘が広がっていったのです。

しかしその後、潮目が変わったのはご存知の通り。

2014年、「朝日新聞」が吉田氏の証言を虚偽と認め、同氏の証言を報道したことに対する謝罪会見を開きます。これを皮切りに、日本国内では従軍慰安婦の虚偽性が明らかになり始めました。

わが党も署名活動を展開するなどして、世論喚起に努めてきました。

しかし昨年、安倍政権が外交成果のアピールや支持率向上のために行った安倍談話や日韓合意は、こうした動きや努力を反故にするような結果を生んだわけです。

世界への発信に必要なもの

この女子差別撤廃委員会と同じタイミングで、都内では大川隆法・幸福実現党総裁による講演会「世界を導く力」が開催されました。日本を始めとする国際政治に必要なものについてこう述べられました。

『正義とは何か、正しさとは何か』ということが必要です。それには、強い決断力と実行力と、世界に対する発信力、やってのける力、批判を跳ね返す力、こういうものが必要で、その背景には、神々の心はどこにあるのかということを、伝えることがある

国連という場そのものが、戦勝国体制を引きずり、東京裁判史観に基づいています。

そこで生まれた国際世論を覆すのは、容易ではありません。

しかし、今の時代に生まれた政治家ならば、間違った常識を変えることが、天命と悟らなければいけないのではないでしょうか。

日本人の誇りを貶め、未来にわたり日本の外交や安全保障の足を引っぱりかねない?を塗り替えるべく、幸福実現党はこれからも、正論を世界に発信してまいります。