中国がこのほど、国内のSNS企業と連携して、国民の「従順度」をクレジットスコアのようにポイント化する制度を設立したことを、欧米各紙が報じている。

「Sesame Credit(ゴマクレジット)」と呼ばれるこの制度は、中国企業Alibabaの融資部門であるSesame Credit Management社が運営している。中国のSNS提供者の協力を得て、中国国内の不穏分子を洗い出すために立ち上げられたものだ。

友人からかかる「監視圧力」

同制度は、共産党政府に批判的な言動や、許可を得ていない政治的発言をSNS上に掲載した場合、本人だけでなく、友人のポイントが減るようになっている。

ポイントが低い本人が国の監視対象になるだけでなく、友人たちにも「迷惑」をかけることになるのだ。

「友人を失ったり、近しい人から苦情を受ける可能性があるため、政府に批判的な言論は避けるようになる」という構図だ。

また、このクレジットスコアは誰でも見ることができるため、社会的に排斥される恐れもある。

本人の交友関係や社会的地位を利用して、反体制的な言論を弾圧することが目的だ。

現段階では、参加したい人のみ対象となっているが、2020年を目処に、参加を義務化する方針だ。

弾圧が簡単になりつつある社会

旧ソ連でも、多くの人が集まる集会などにスパイを送り込み、政府に対して批判的な発言をした人を逮捕していた。その結果、発言を自粛する人が多くなったのだ。

現代では、SNSやネット経由の通信が日常生活の一部となっている。その通信を傍受し、政府に対する「従順度」を数値化したものを公表することで、友人同士を監視させるのは、旧ソ連のやり口と非常に良く似ている。

日本でも、マイナンバー制度の立ち上げによって、政府が国民を監視できる体制が出来上がりつつある。国民1人ひとりに割り振った「背番号」で、銀行口座や医療情報を一元管理するための取り組みだ。

「行政サービスの効率化」が本来の目的だが、個人情報が簡単に手に入るマイナンバー制度は、政府が国民をコントロールするためにも使える。あらゆるシステムがネット経由でつながっている現代では、政府のやり方に対して反対意見を述べる人の銀行口座をボタン1つで凍結することもできるのだ。

高度化した社会を利用して、「大きな政府」が簡単に国民の自由を奪えるような制度は、決して幸福をもたらさないだろう。(中)

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