集団的自衛権の限定的な行使を可能にする安保法制が可決・成立した。

これを受け、中国外務省の洪磊副報道局長は18日、「日本が国内外の正義の声に耳を傾け、歴史の教訓をくみ取って平和路線を維持するよう求める」と、歴史問題を引き合いに出して、日本を批判した。

日本と対立する中国が日本を非難するのは、想定内の反応である。一方、その他の外国では、どのような見方をしているのか。

諸外国から見た安保法制への見方

海外メディアの多くは、安保法制の賛成と反対の両論を汲み取った形で報道している。しかしその報じ方には、それぞれの国の国益も見受けられる。

アメリカのロイター通信は、今回の法案が日本国内の反対派デモの中で可決されたことに触れ、「日本がアメリカの戦争に巻き込まれる」という反対派の声を紹介。同時に、日本が先の法案を通した理由として、軍拡を続ける中国や北朝鮮をはじめとする、日本をとり巻く安全保障の環境が悪化しているためだと説明した。

さらに続けて、中国と対立を深めているアメリカ政府としては、アジア太平洋の安全を守るために日本の助力を必要としており、安保法制を支持している点も報じた。

また、アラブ首長国連邦のガルフ・ニュースは、世界に対する脅威はテロリズムが原因であるため、「日本は大国として、国際社会と協力してイスラム国などのテロ組織と戦う義務がある」とし、「安保法制を推進すべきだ」と主張している。現在の中東での混乱を振り返れば、中東独自の事情が反映された視点だと言える。

だが総じて言えるのは、多くの海外メディアが、日本の安全保障上の役割の拡大に期待しているという点である。

「戦争は嫌だ」では平和は守れない

戦争したくないのは、誰でも同じである。しかし、日本の国益を考慮した場合、国防力の強化は差し迫った問題だ。日本周辺には、明らかに侵略的意図を持った国々が存在し、こちらが手を出さなくても、戦争の火の粉が降りかかってくる可能性は十分ある。

国際社会の紛争や戦争を抑止することは、日本の国益や世界正義に適う場合がある。最悪の事態に備えるためにも、日本は、より一層の国力の強化だけでなく、国防力に見合った独自の政治力や外交力が求められている。(中)

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