日本は男女ともに「健康寿命」が世界で最も長い。そんな研究結果を、アメリカのワシントン大学などの研究チームがイギリス医学雑誌「ランセット」の電子版(27日付)に発表した。

「健康寿命」とは、健康上の問題がない状態で日常生活を支障なく送れる期間の平均年齢のこと。2000年にWHO(世界保健機関)が健康の指標の一つとして提唱した。

研究チームは1990年から2013年までの世界188の国と地域のデータを分析した。その結果、2013年の日本の「健康寿命」は男性が71.11歳、女性が75.56歳となり、男女ともに世界トップだった。ちなみに世界の「健康寿命」の平均は、男性が60.59歳、女性は64.13歳だった。

日本には元気な高齢者が多いというのは喜ぶべきことだ。これは、日本の社会保障費や医療費の増加などの「財政問題」を解決する糸口になるのではないか。今よりも定年を伸ばすことで、元気な高齢者が生きがいをもって働き続けられる社会を構築すればよいのだ。

もちろん、身体的にもう働けない高齢者を無理に働かせるべきではないが、定年になったら一律で退職させることもない。高齢者としても生きがいを持って、充実した人生を過ごせるのではないだろうか。

そのためには、環境整備も必要だ。まず社会が、高齢者を多くの知識と経験を持つ貴重な戦力、として認識する。そして高齢者が仕事で使いやすい事務機器やロボット開発を進めて、高齢者の負担を減らす。さらに高齢者が実際に企業に参画しやすいように業務体系を調整していく。政府が高齢者雇用を進める企業に対して、税制優遇を図るなども重要だ。

この社会構造は、「健康寿命」をさらに延ばすことにもつながる。

「健康寿命」を延ばすには、「適度な運動・規則正しい食事・心の健康・五感を使った感動」が必要であると言われている。このような生活習慣は規則正しく働いていれば自然と身につく。逆を言えば、仕事を退職した後にこれらの要件を満たす生活を日々送ることは容易ではない。通勤がなくなると足腰が弱くなり、生活も不規則になりがちだ。それは様々な病気につながる。

生涯現役社会を構築すれば、自立して生活できる高齢者が増え、「健康寿命」はさらに延びる。非常に良い循環が生まれてくる。最終的には75歳定年制社会への移行を目指せば、財政問題は大きく解決に向かうのではないか。

日本は「生涯現役社会」を創り、他の国々に高齢化先進国としてモデルを示すべきだ。(栗)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『生涯現役人生』 大川隆法著

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